大腸がんの治療
●大腸がんの基本的な治療方針
大腸進行がんの第一の治療法は、外科的にがん細胞を取り去ること。つまり手術でがん細胞をすべて切除して体の中から取ってしまうということです。
最近では大腸内視鏡の機能が格段に進歩したため、早期がんは開腹手術をしないで肛門から大腸内視鏡を挿入して、その場で取り去る(摘除:てきじょ)することができるようになりました。そのため早期大腸がん全体の約60%は、大腸内視鏡による治療を行うことが一般的になりました。しかし大腸内視鏡で取ることができない大腸がんも存在します。そのような場合は、粘膜のどれくらい奥までガンが達してしまっているか(深達度・しんたつど)、リンパ節への転移が見られるか、遠隔転移があるか(大腸がんの場合は肝臓と肺に転移する傾向がとても高いです)の3つの状態に基づいて、切除範囲を決めて開腹手術を行います。
●結腸がんの治療
粘膜の下にまで達していない粘膜内の早期がんは、リンパ節転移の可能性がないので内視鏡治療ができます。粘膜下層のがんは約10%にリンパ節転移が見られるため、深達度から判断し、手術か内視鏡か慎重に判断して選択します。内視鏡治療後の病理(びょうり)診断でリンパ節転移が認められた場合は、その後でさらに外科的な追加切除を行います。
進行がんの場合は転移の可能性があるリンパ節を検討し、その結果をもとにがんのある大腸部位とその血管に沿ったリンパ節を取り去ります。切除後は前後で縫合しつなぎ合わせます。治癒不可能な場合でも、腸管ががんで狭くなっているような場合は、便通異常などの問題をふくめて生活の質を少しでも改善させるため、腫瘍を含めた腸管を切除します。このような結腸がんの切除手術後は、大腸の長さは短くなりますが機能は充分に維持されるので心配はいりません。
●直腸がんの治療
肛門近くの直腸にできた早期がんは、開腹せずに肛門のほうから切除する「局所切除術・きょくしょせつじょじゅつ」を行います。肛門括約筋(かつやくきん)(肛門を開閉する筋肉のことです)を切らない方法と切る方法との二通りがあります。肛門側から取れないがんは開腹手術になります。直腸がんの手術には大きく分けて2つあります。
○ガンのある直腸と共に肛門も切り取ってしまい、結腸に人工肛門を作る方法(直腸切断術・ちょくちょうせつじょじゅつ)。
○肛門括約筋を残して結腸と肛門管、あるいは残った直腸をつなぐ方法(肛門括約筋温存切除術・肛門かつやくきんおんぞんせつじょじゅつ)。
の二通りです。
現在は患者さんの手術後の生活の質を考慮して、ほとんどが肛門括約筋温存切除術を行うのが一般的になりました。ここで充分注意しなければならないのは、直腸がんの手術後に合併症をおこすことがあるということです。その主なものを挙げると、排便の回数が多くなる、尿がでにくい、頻尿、性機能障害です。肛門を温存する手術では肛門は残るものの、直腸がないために便をためることができず、排便回数が非常に多くなります。また、直腸のまわりには泌尿器、生殖器を支配している神経が密にあるため、リンパ節を切除する際に、これらの神経が傷つくと排尿障害、性機能障害のような後遺症があらわれることがあります。
周囲のリンパ節を取り去ることはガンを根本的に、完全に治すのには必要不可欠なことです。しかし最近は、これらの神経のあるところは極力温存する方法がとられています。
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